?B階層構造
各群落型間の階層構造を比較するために、群落型毎に代表的なプロットを選び、種毎の樹高階分布を示した(図2-9-1〜2-9-4)。ハンノキ−ヨシ型株分では、全体的に見ると林冠層にしか個体が見られず、その下層には数少ない実生以外の個体が全く見られないことがわかる。林冠層はハンノキとヤナギで形成しているか、ヤナギが見られずハンノキだけのプロットもあった。ハンノキ−クサヨシ型のPlot−20は林冠層にハンノキとヤナギSpp.が存在し、亜高木層から低木層にかけてエノキが、低木層にはムクノキ、アマメカシワ(Mallotus japonicus)、イボタノキ(Ligustum obtusifolium)などの定着個体が見られたほか、12種の実生が数多く出現していた。しかし同じハンノキ−クサヨシ型のPlot−9では林冠層はハンノキのみで、低木層にも低木性のカワヤナギが出現しているほかには個体が見られず、実生としてもムクノキが見られただけだった。ハンノキーカナムグラ型のPlot−18では、林冠層はハンノキのみで、低木層にエノキが2個体見られた。これらハンノキタイプの3型をまとめて考えると、林冠層にはハンノキのみか、一部のプロットでヤナギspp.が見られるだけで、他の種は出現しない。また亜高木層および低木層には個体がほとんど見られず、発達が非常に悪いことがわかる。一方、エノキ−ジャノヒゲ型株分では、エノキ、ハンノキが主に林間に出現し、Plot−15ではクヌギが混在していた。そして亜高木層にはエノキやヤマグワ、ゴマギ、ムクノキなどの個体が存在し、低木層にもエノキやゴマギ、イボタノキ、Plot−15では常緑広葉樹のシラカシ(Quercus myrsinae)なども存在していることがわかる。クヌギ−ジャノヒゲ型では林冠層にクヌギ、エノキが存在し、一部のプロットではハンノキや、オニグルミ(Juglans mandshurica var. sachalinensis)なども混在する。亜高木層と低木層についてみると、クヌギタイプでは低木層ではエノキやゴマギ、ムクノキ、カマツカ(Pourthiae villosa var. leavis)、エゴノキ(Styrax japonicus)、イボタノキなど多くの落葉樹種が出現するとともに、シラカシやシュロのような常緑広葉樹種などが出現していることがわかる。しかし亜高木層についてはプロットによってゴマギやムクノキなどが存在して発達しているプロットもあれば、全く個体が見られないプロットもあった。
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